葬送のフリーレンに次ぐマンガ大賞という事で3巻ぐらいまではなんとか読んでいましたが、1章の主人公ラファウ君の生き様が余りにも美し過ぎて4巻以降を読めていませんでした。
この度5巻が発売されたとの事でようやく4巻を読んでみた所、一気に最新話まで読んでしまったぐらいには面白いので記事にしてみます。
やはりね、なんと言ってもラファウ君ですよ。
最初は2巻すら中々読めなかったぐらいには、彼のたった12年の人生は最高に輝いていました。
2巻を読めたのは1巻を読んでから数カ月後で、次の主人公のオクジーの性格に馴染めず3巻で読むのを中断しておりました。
それぐらいラファウ君が、作中の言葉を借りるなら「美しい」のですよ。
見かけとかではなく。
いや、ラファウ君は見かけも美しいのですが、それだけではこのマンガを買おうとは思いませんでした。
ノヴァクの方が正しい事を言っているのではないかと思おうとしたんですよ。
生死をかけてまで研究するなんて馬鹿げている。
生きてこそ意味がある、ましてや彼は12歳だ。
たった12年しか生きていない子に生死をかけた研究を託すなんてフベルトは極悪人だと。
しかしどうしてもそう思えなかったのです。
彼が12歳だとか、生きてこそだとか、フベルトに託されて可哀想だとか思えなかったのです。
彼はたった12歳で人生をかけた研究を受け継ぐ事が出来た。
むしろそれは羨ましい事なのではないのかと。
まぁ実際こんな状況になったら私なら地動説の方を捨てますけどね。
そもそも受け継ぐ脳がなi(ry
涼しい顔をして人の爪を剥いだり人の皮を剥いだりするノヴァクを慌てさせたキャラというだけでも好感度高いです。
そんなラファウ君から交代した2章の主人公オクジー。
一言で言うと初期のオクジーはとてもネガティブ。
なんでも素直に人の言う事を聞いちゃうものだから、この世こそが地獄であり、あの世に行く事こそが天国へと向かう唯一の手段であると教えられた事を信じている。
だからこそ早く天国のある死後の世界に行きたいと思っている。
そんなオクジーもグラスの思いを受け取り、石箱を介してラファウ君の思いをも受け取ってからは変わって行きます。
オクジーは1巻1話の扉絵?と言うのでしょうか。
あそこでノヴァクから苦悩の梨を使われている描写があったのでいずれはそうなる覚悟はあったのですが、実際そうなりそうになって来た4巻で完全に好きキャラへと昇華しましたね。
思ったのですが、オクジーがあんなネガティブになったのは教育のせいもあったと思うのです。
最初から文字をまともに読めるような教育を受けれる環境にあったラファウ君と、そうではなかったオクジー。
そんなオクジーがグラスに託され、石箱を介してラファウ君からも託された。
そしてバデーニやヨレンタと関わり、ヨレンタから文字を教わり、文字という奇跡に触れて自力で「反対意見がない事の危険性」を導いた。
その上で彼は「地動説を信仰」したんですよね。
これってオクジーの地頭が良かった事の証明なのではないでしょうか。
現にバデーニはオクジーに「反対意見がない事の危険性」を説かれた時に怒らなかった。
それどころか「続けろ」と言って先を促した。
全ての人が文字をまともに読む教育を受ける事に反対していたバデーニが、教育を受けるべきではない人間としていたオクジーの話を最後まで聞いたのですよ。
そしてバデーニが次に地動説を受け継いでくれる顔も名もわからぬ者へ遺す資料として、オクジーの日記を選んだ。
これは何よりバデーニがオクジーを認めた事になるのではないでしょうか。
オクジーを見ていたら全ての人に教育が必要だと思いますね。
そんな急成長したオクジーに惚れた所でバデーニと共にあっさり退場。
そして次の主人公へ……
このマンガは主人公達の人生をかけたオムニバスなのかもしれませんね。
地動説というバトンを次の主人公へと託す物語。
いくら弾圧しようがいなくならない異端者。
殺しても殺しても、いつの時代になろうと、「知」への欲求を携えた者が異端者として出てくる。
ここらへんは4話の時点でラファウ君が言及してますね。
「敵は手強いですよ。あなた方が相手にしているのは僕ではない。異端者でもない。畢竟。それは知性だ」
これこそがこのマンガの全てなのかもしれません。
「知性」という魅力に取り憑かれたと言っても過言ではない主人公達の人生を綴った物語。
もしかしたらこの物語の主人公はラファウでもオクジーでもなく地動説という名の信仰なのかもしれません。
人の主人公は章ごとに変わりますが、ラファウからオクジー、オクジーから次の主人公へと託された地動説だけは変わらない。
地動説という主人公を次へ託す為に人の主人公が命をかける話。
それが「チ。」なのかもしれません。
最初このマンガのタイトルを見た時、なんでカタカナなんだ?と思いましたが、読んでいく内にその必然性を理解できるのも素晴らしい。
「地」でもあって、「知」でもあって、「血」でもある。
いろんなキャラのいろんな意味の「チ」の物語。
タイトルの意味まで秀逸とかどんだけ完成度高いんでしょう。
次の主人公はドゥラカ、でいいんでしょうか。
タイトルが出る場面にいる人がその編の主人公ですよね、多分。
私は次はてっきり成長したヨレンタ辺りが来ると思っていたので驚きました。
そういえばヨレンタって生きて…ますよね?
死んだ事にされてましたけど。
後、ノヴァクのその後も気になる。
いずれ出てくる事を期待して待っておきます。