貴腐人の感想と日常

キャラクターを性別問わずカップルにするのが好きな人間による作品感想がメインのブログです。 作品感想以外のことも記事にします。

僕たちがやりました

某ユーチューバーさんが紹介してくれていた金城宗幸さん原作、荒木光さん漫画の「僕たちがやりました」。

面白かったので記事に残しておきます!


面白いと言っても後味の良いお話ではないので胸糞展開が苦手な方には決してオススメできません。

が、私はとても気に入りました。

ドストエフスキー罪と罰のような、罪悪感も持て余すとこうなるんだと思えるマンガでした。

法で裁けない罪に対しての向き合い方、犯した罪は見つかなければいいというものでもないのだなと勉強になったというか。

罪と罰でも被害者は多くの人から恨みを持たれていましたし、当初の予定とは違う被害(罪と罰の場合アリョーナだけを殺すつもりが妹のリザヴェーダも殺した)を出していたり、公的機関の人間(罪と罰の場合、予審判事のペトローヴィチ)に目を付けられていたりと、現代版 罪と罰を読んでいるような気になるマンガでした。


ペトローヴィチはむしろ自首するよう勧めて待っていてくれていましたが、飯室さんはめっちゃ容赦ないですね。

「幸せな瞬間に思い出す」呪いをかけておいて、その上でパイセンが捕まった時に当然捕まるものだと思っていたトビオの願いをキレイに流した。

あそこは正に「一生苦しめ」ですね。

飯室さんという徹底した許す気のないキャラを出すことによって、裁かれない罪の重さを描いている。

金城先生マジすごいです。


このマンガすごいシリアスなのに時折挟まれるギャグが結構シュールで笑いました(笑)

今宵ちゃんのパパ、まんま梅○辰○さんでしたし(笑)


今宵ちゃんと蓮子ちゃんはこのマンガのオアシスですね。

遵法意識の薄いキャラが多いので、読んでいたら色々吹っ飛んで行きそうな感情を元に戻してくれるというか。

特に今宵ちゃんが赤ちゃんを犯罪者の子にしたくないと言うシーンはハッとしました。

そして85話の産婦人科で再会した蓮子ちゃんの「頑張ったね」

そりゃあ市橋が惚れるわけですよ。

人を爆弾で燃やしたわけじゃない一読者の私もあそこは泣きました。


弟を刺殺し、返り血を浴びながらトビオに微笑むシーンのパイセンなんかキレイに見えません?

アレは荒木光さんの作画の成せる技なのか…

このシーンのパイセン見てたらやっぱり「風俗界の首領」の息子だなと思いますよね。

人の目玉をくり抜いた事があるような見たまんまヤバい弟を、ケンカもしたことのないような(爆破の勢い余って死なせてはいますが)見たまんま弱い兄が最初の不意打ちを決めた上で殺すとか、裏社会の素質めっちゃありますやんと思いましたね。


それと5話で爆弾を作るシーン。

誰が爆弾を仕掛けると言い出したかはわかりませんが、材料費を出したり仕掛ける具体的な案を出したり…まぁその場の高校生のノリに合わせた部分もありますが、ああいう事を嬉々としてやってしまう所に「風俗界の首領の息子」感を感じてしまいますね。

爆破前に少しでも焦りを感じていたのがトビオだけっぽいのが…

トビオ視点だからそう思うだけで意外と伊佐美も焦っていたりしたのでしょうか。

マルは心の底から喜んでいそうですが(笑)


輪島宗十郎の息子でもあるけれど、やっぱりあの4人の中で一番優しいのはパイセンだと思います。

だからこそトビオは86話でパイセンに相談したんだと思います。

後、ゲイのホームレス、ヤングさんも結構優しいですよね。

セックス目的でトビオにズボンや靴、歯ブラシセットやらをあげたんでしょうに、蓮子ちゃんの気持ちがわかって泣くトビオの貞操を奪わずにいてくれたり、自首イベントでトビオ達を取り押さえようとする警備員を止めててくれたり。


最終回の最後のコマのトビオの笑顔。

それまで散々 罪悪感に苦しむトビオを描いてからの、最後にあの笑顔ですからね。

構成が上手すぎる。

金城先生マジすごい。

最終回と言えばもう1つ、注目するべきなのがトビオが電車内で読んでいる新聞記事。

あそこに爆破事件の犯人の死刑執行って書いてあるんですよ。

誰も殺していない、たまたま条件に当てはまっただけのホームレスが、してもいない罪で殺されたという記事。

それを実際にその事件現場に居て関わった人物が「そこそこの生活」をしながら読んでいる。

こんな胸糞なシーンを描ける金城先生はやっぱり偉大です。


ここからは結構な胸糞BL妄想タイムです。

BLが苦手な人、胸糞な話が苦手な人は読まないようお願いします。


















市橋とトビオってカップリングになる思うのですよ。

それとパイセンとトビオ。

最終回にまで出てきたトビオの罪悪感の塊みたいなキャラと、トビオを引っ付ける妄想が止まらずに支部を漁る腐女子の姿は、さながらパイセンが殺されそうになっているのに今宵ちゃんとセックスに耽る伊佐美のようでした。

しかしカプ妄想が滾る滾る。

おばあちゃんが死んだ後の市橋なら多分真実を知っても殺そうとまではしないと思うんですよね。

ただ友人には戻れない。

そんな市橋に俺を憎めと言って生きる目的を持たせようとする。

愛し合う事は出来ないけれど、生きる為に互いが必要なカップルとしてならイケると思うのですよ。

というか本当、こんな感じでいいから市橋には生きていて欲しかったorz


パイセンとトビオはまぁわかりやすいですよね。

ムショ帰りのパイセン、どんだけ脱皮したんすかってぐらい人として成長してましたし。

そんな真に頼れるパイセンとなったパイセンに身体を委ねるトビオ。

あると思います。


ということで精神に余裕があり、かつ罪と罰的な本が読みたい方にオススメです!


僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)