貴腐人の感想と日常

キャラクターを性別問わずカップルにするのが好きな人間による作品感想がメインのブログです。 作品感想以外のことも記事にします。

月の砂漠に銀の雨

伊藤クロエ先生が描くBL小説「月の砂漠に銀の雨」の感想、いってみたいと思います。

 

こちらwebで連載し完結したものを途中まで書籍にしたもので、書籍の続きはアルファポリスのサイトで読めます。

と言っても伊藤先生のツイッターやweb連載時代から知っている方の情報によると、web連載時代とキャラの設定などが変わっているようなので、webで今も公開されている小説が完全な続きというわけでもないようです。

こういった背景があるからでしょうか?

アルファポリスで書籍化されたweb小説が全編非公開にされていないのは。

確か「傭兵の男が女神と呼ばれる世界(以下「傭兵女神」)」では1巻が発売した時点でwebの方は全編非公開にされ、全てを書籍化するかどうかは1巻2巻の売り上げ次第という試される大地だった筈なので、この「月の砂漠〜」では設定違いという事で全編非公開を避けたのかもしれませんね。

いや、完全に一読者の推測ですが。

 

という事で私は今回書籍化された分とwebで公開されているお話を全て読みました〜

伊藤先生は頭の良い方なんだな、というのが率直な感想です。

異世界転移先に居る生物が人間と同じ形をしている事や、月(衛星)が1つしかない事に疑問を持たせる作品、初めて読みました。

その際にビックバンや素粒子の話が出てきたりしたのにも驚きましたね。

確かに言われてみればアメーバみたいな形をした生物しかいない世界に飛ばされてもおかしくはないわけで。

酸素ではなくヘリウム等をエネルギーにして活動している生物しかいない世界に飛ばされてもおかしくないわけですよ。

そこに気付かせてくれる伊藤先生マジすごいなと思いました。

それとロサンゼルスの成り立ちなどもサラッと描かれていたり、主人公のカイは読書が趣味のようですが、カイの読書好きはもしかしたら伊藤先生ご自身の趣味なのかもしれないな〜といった感じの内容でした。

 

BL的な部分で言うとまぁ所謂3人で組んず解れつする3Pと呼ばれる部類のBLですね。

同じ?3Pものだと最近のやつだとそれこそ読んだのは「傭兵女神」だったりしますが、「傭兵女神」だと最初はやはり攻2人がそれぞれに嫉妬心を抱いていたりしたものですが、こちら(月の砂漠〜)の攻お2人は物語が始まる前から意外と仲が良かったらしく、互いをリスペクトしているようでそういった(嫉妬心を抱く)事もなく受である主人公を愛でるといった感じになっております。

ただ終盤も終盤、主人公がある事をした後の世界でガタイが良い方の攻がシュッとした方の攻に初めての嫉妬心を抱くシーンがありまして、そこにかなりときめきメモリアルました。

このガタイが良い方の攻、名をダルガートと言うのですが、普段は無表情で黙々と仕事に励み、更には人の心の機微にも敏く主人公が悶々としているとすぐさまそれを察知してアドバイスをくれるという超が付く程の大人なのですが、何かにつけてお茶目な部分を出して主人公や読者を悶えさせてくれるのですよ〜

好物であるチーズが均等に分けられたか主人公のチーズと大きさを比べたり…いやこのダルガートの2面性?にはヤられました。

それにダルガートは何と言っても「敬語攻」さんな所もね〜

バンバンするしかない悶えポイントヾ(:3ノシヾ)ノシ

あ、もちろんシュッとした方の攻ことサイードさんも最高ですよ!

この人が居なかったらそもそも主人公は神子としてやっていけていたかもわかりませんからね。

ダルガートは敬語攻ながら主人公を1人の男として扱う感じなのですが、サイードさんは甘々全開と言いますか、サイードさんが不在な時はダルガートが「サイード殿のように」甘やかすぐらいにはサイードさんの主人公への甘やかし度は全開だったりします。

そんなサイードさんも主人公のカイがある事をした後の世界ではニマニマ(◜𖥦◝)する変化が見られたりして、ダルガートの変化と共に楽しめたりします。

ギャップ萌え担当のダルガートと甘やかし担当のサイード、その2人に愛されながら一生懸命頑張るカイの物語に確かな満足でした。

 

ただ1つ不満を上げるとすると人称がバラバラだった事ですかね〜

カイからサイード、サイードからダルガードと、1人称視点がコロコロ変わるだけでもちょいと苦手な部類なのですが、そこに更に3人称まで入ってくるのには参りました。

まぁこれはweb発の小説という事で仕方ないのかもしれませんがね…もっと酷い、と言ってしまうとアレですが、擬音しかないような書籍もあるようですし。