貴腐人の感想と日常

キャラクターを性別問わずカップルにするのが好きな人間による作品感想がメインのブログです。 作品感想以外のことも記事にします。

傾国の仕立て屋ローズ・ベルタン5巻まで【その2】

前回の感想で最初の方の巻の感想を書いていなかったな〜と思い立ち、【その2】として記事にしてみました。


1話のララ様の髪結いから始まるところ、ここでもうベルタンの失恋への道が示されてんですよね。

「ララ様が1ヶ月同じ殿方に添えたら考えましょうか」

1ヶ月。

その1ヶ月の間にマルセルとララ様の結婚話が進められたというのがもう、キツい以外言えないです。


ララ様も悪い人ではないんですけどね。

現代でもよく耳にする「友達だからお代を払わない問題」。

ララ様はむしろ「お代はたっぷり弾むわ」とおっしゃってくださってますし、「お得意様」としては最高の人なんだと思います。

それとマルセルにとっては最高の配偶者なんでしょうね。


ベルタンが店を任されていた時の男からの嫌がらせ。

マルセルはベルタンに「助けて」と言って欲しかったのではないでしょうか?

その後の「……マリーは可愛いよ」「お世辞じゃ着飾れないのよ」この時のマルセルの顔を見るにベルタンの返しがもう少しマルセルを頼りにする答え方だったら、マルセルはベルタンと良い仲になっていたと思うのですよ。


かと言ってベルタンが悪いというわけでもないと思うのですね。

これはもうベルタンが、配偶者を得てもパンを食べれるわけではない環境に生まれ育ったことが悲劇の始まりだったような気がします。

幼い頃から己の身1つで食っていかねばならない環境にいたからララ様のようにはなれなかったし、配偶者が居ないとダメになるララ様のような相手を求めていたマルセルと残念なことになったんだと思います。

ベルタンだってマルセルからバラを貰って満更でもない表情してますし、素直に甘えれなかっただけなんですよ。


だからこそ「私には似合わないな」がすごく胸を締め付けられましたね。

4巻19話デュ・バリー夫人の「生きる為に持てる才能を活かしただけ」という言葉に過去の自分を重ねるシーン、正にこれでしょうね。

ベルタンだってマルセルに甘えたかったでしょうに。

環境がそれを許してくれなかった。

そしたらマルセルはベルタンに自分は必要ないと判断して他の人を選んだ。

これを悲劇と言わず何と言うのでしょう。


でもマルセルがララ様を選んでくれたおかげで傾国の仕立て屋はパリに赴くことになったのですから複雑ですね( ・´ω・`)

ベルタンは別に歴史の重要人物というわけではありませんが、歴史の重要人物からしたら必要な人だったわけですし。

そう考えるとベルタンがパリに向かった時のバルビエ先生の「マリーはこの町ごときに収まる器じゃないのさ」というのは本当だったんだなぁと、さすが傾国の仕立て屋に仕事のやり方を仕込んだ人は違うと思いました。

そう言えばバルビエ先生、1巻の表紙裏でベルタンが捨てたララ様のベールをちゃっかり被ってたのには笑いました。